こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
今日は前回ご紹介した息子の「一番病」。その具体的な内容について。
「うちの子、もしかして今一番病になってる??」そんな疑問を持つ方のご参考までにどうぞ。
のんびりした気性だった息子
息子はもともと機敏に動くタイプではありませんでした。そのため幼児期も外遊びはかけっこなどを好まず、水遊びやアスレチックなど、運動神経に関わらず遊べるものをチョイスして遊んでいました。
勝敗が決まる幼稚園の運動会などは、ビリなので泣きながら先生とゴールする、という感じでしたが、その後癇癪を起こすわけでもなく、気分を切り替えてそれなりに行事を終えていました。
お家でトランプなどをやっていて負けても、怒ることはなかったですね。
ただ、自分が勝った勝負でその日を終わらせたかったようで、勝つまで付き合わされていましたが。
トランプ遊びが「勝敗でかんしゃくを起こさない」一番の訓練になっていました。人生ゲームやUNOはトランプゲームより逆転が多いため、息子には向かなかったようです。トランプは結構頭を使うので、癇癪の勢い(爆発する気力)がいい具合に落ちていたようでした。(たくさん考えるので怒る気力が半分とられるみたいです)
元気いっぱいではありましたが、穏やかでのんびりとした息子。
そんな息子に勝敗へのこだわりが出てきたのは、発達障害の診断が下った後、しばらくした頃でした。
一番病。具体例(息子の場合)
まずは、テストで満点以外を取ったとき。
今までテストの点数なんて、100点で「すごい!すごいね!」と褒めても「うん?」と言うだけでどーでもよさそうだったのに、ある日を境にイライラを表現するようになったのです。
ある日は持って帰ってきたテスト用紙の点数のところを、鉛筆で真っ黒に塗り潰してきたよ。
(何点だったか全く見えない)
別な日は間違えた解答箇所に鉛筆で✕印を何十個も書いて持ってきたねー。
(元の解答がまるで不明…)
またある日はビリビリに破ったテスト用紙をセロテープで貼り直した状態で持ち帰ってきました…。
(先生が貼り付けてくれたらしいです…)
それはテストだけに留まりませんでした。
そのうち漢字練習帳にちょっとだけ訂正された漢字の「ハネ」や足りない「点」などもぐちゃぐちゃに鉛筆で塗り潰したり、✕印をノート一杯に書き殴ってきたりしてきました。
おうちでの宿題時もそう。
ひとつでも間違えた箇所があれば、紙に穴があくまでぐちゃぐちゃに塗りつぶしたり、ビリビリに破り捨てたりし始めるようになってきました。
100点以外は全てゼロだ!
テストも98点では許せない。100点以外はたった一問の不正解でもぐしゃっ!と握り潰して足でドンドン踏みにじり、ビリビリに破り捨て「0点!0点!0点!!!うわあーっ!」と激しい癇癪を起こすように…。
(低学年時はテストで100点を取りやすくなっています。子どもの意欲を欠かないため、敢えて満点が取りやすくなっているそうです。息子の小学校はそういった方針でした。)
今まで大丈夫だったトランプや将棋も、自分の負けが見え始めるとまだゲームもとっ始めなのに、カードや将棋盤をひっくり返して「もうやだ!負けるっ!負けるっっ!」と暴れるようになりました。
部屋中に散乱する将棋の駒を見て、君は星一徹か?と思っちゃったよ…。
将棋の駒は硬いから拾えばいいだけだけど、トランプはぐにゃっ、っと曲げ跡が残ったりして、もう使えなくなったりしていました。破かれたカードもありましたね…。
じゃあ安価な紙のトランプでいいんじゃない?と思ったりもしたのですが、発達障害児あるあるで、手先が不器用。プラスチック製の硬いカードでないとペナペナで引きにくい。更なる癇癪のもとになるので、毎回プラスチック製を買っていました。
そのうち小学校での様々な体育の記録会でも、やっている途中で急に癇癪を起こして記録会自体を投げ出すことが相次ぎました。
まだスタートして3秒足らずで、です。勝敗が全然見えていないうちから中途で棄権してしまっていました。
全てにおいて「1番じゃなきゃ許せない」!
苦手な体育だけならともかく、それは学力テストや普段のテストにさえ出現するようになり、もう本当に何にも参加できなくなってしまいました。
学力テストは国語が「3点」。1問目の漢字をひとつ書いただけで退出してしまったのです。算数なんか名前さえ書かずにその場にひっくり返っていたそうで、「0点」。学期末のテストも、全教科受けない学期さえ出てきました。
理由は、「100点にならないかも、と思うと嫌になっちゃうから」。
これには学校のカウンセラーさんも病院の先生も「困りましたね…」。
テストが受けられないと、息子の実際の学力が図れないからです。
今までは多少遅れても十分挽回できる学力がある、ということで「心の安定」を重視した指導をされてきた息子。
しかし1年以上事実上の学力が測定不能となると、学力を落とさないような指導も加えるべきかどうなのかが判断できません。
あまりにも学力を落とし過ぎると、息子の場合は逆効果となります。この頃は病院の先生も私も本当に悩みました。
まとめ
抽象的なものより具体的なものを好む自閉症スペクトラムなどの発達障害の子は、「1番」や「100点」などはっきりとした数字にこだわることが多いようです。
それゆえに、「一番病」になりやすいのですね。
これはこの子たちの「特性」のため、成長しても徐々に落ち着いてくる、という風にはいかないようです。
何十回でも何百回でも、繰り返し諭していくしかありません。
息子は1番病が落ち着くまでに5年ほどかかりましたが、そこまでのかかる時間はそれぞれ。「納得はできないけど我慢できる」。この考え方は、成長するごとに必要になっていきます。
自分の意見を主張することは勿論大切ですが、どうにもならないこともある、という概念も合わせて持って生きていくことも、同じように大切なのです。それは「諦め」ではなく、「自分のココロを守る盾」にもなるからです。
5年かけて、やっとその手に持てるようになった「1番病から自分のココロを守る盾」。
防御は最大の武器です。自分の感情に押し潰されてしまわないように。彼らの「盾を作る時間」に辛抱強く付き合ってあげたいですね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。