こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
今日は「デンマーク幸福研究所」発信の幸せの定義について。
「幸せ」という言葉に釣られやすい現代人
「ワクワクすることだけをしよう!」「ハッピーな気分で毎日を過ごそう」「幸せを感じる時間が欲しくない?」。
広告やSNSでは、こうした「幸せ」という言葉がその媒体からあふれ出すように毎日たくさん流れています。
そんな「幸せ」を哲学や統計学、生物学、経済学。心理学や社会学などあらゆる観点から見つめた、「世界一幸せな国」デンマークの「幸福研究所」が綴った幸福研究の本。その名も「デンマーク幸福研究所が教える『幸せ』の定義」。
各章とても興味深い本でしたが、その中で特に私が関心を寄せた箇所を取り上げながら、今日は「幸福度」について考えてみたいと思います。
金持ちになったからといって幸福になるとは限らない
この本には面白い質問が載っています。2つの異なる世界、どちらに住みたいか、という質問です。これは1998年にハーバード大学の学生グループにされた質問だそうです。
ひとつ目の世界では、他の皆の年収が15万クローネであるのに対し、あなたの年収は30万クローネです。もうひとつの世界では他の皆の年収が120万クローネであるのに対し、あなたの年収は60万クローネです。
この2つの世界の物価は同じです。ひとつ目の世界であなたは、2つめの世界の半分のお金しか使えませんが、他の人と比べると2倍もお金を使えます。ひとつ目の世界で、あなたの絶対収入は2つ目の世界より少ないのですが、相対収入は多くなります。さあ、あなたはどちらの世界に住みたいですか?
この質問で大半の生徒はひとつ目の世界を選びました。つまり学生たちは、稼げる額がより少ない世界であっても、周りの人より多く稼ぐことができるのであればそちらに住みたい、と望んだのです。
学生たちはなぜ、貧しくなる選択をしたのでしょう?使える額も少なくなるのに。もちろんこれは私達の幸福が、私達の社会における立場、ステータスに一部基づくからです。
引用元:「デンマーク幸福研究所が教える『幸せ』の定義 マイク・ヴァイキング著・枇谷玲子 訳
私達は常に周りと差をつけようと躍起になります。「一般的」から1歩抜きんでることで、自分の価値と幸福度を上げようとするのです。そしてそれは消費にも表れます。
毎年ハワイで正月を過ごすこと、雑誌に載っているブランドの服を着て街を歩くこと、SNSで話題のカフェでランチを楽しんでいるところをアップすること。
今まで買えなかった服を着ることができた時はハッピーな気分になりますが、それも1ヶ月すると慣れきってしまい、同じ服を着てももう幸福度は上がりません。
お金に十分余裕ができても、その幸福感がずっと続くわけではないのです。
SNSを使うことであなたの幸福度はどんどん下がっていく
Instagramやネットニュースなど、私達の周りには覗こうと思えばいつでも覗ける「他人の生活」があります。高尚なスローライフやため息がでるほど豪華なホテルステイ、塵ひとつないミニマリストの部屋、難関校に何人も合格させるパワフルママ。
そんなハイクオリティー?な日常を毎日覗いていたら、私達のありふれた生活はとてもつまらないものに思えてくるようになるでしょう。
ミシガン大学がアメリカ人の若者を対象に行った研究の結果も興味深いです。
この調査によると、例えば Facebook の利用と生活満足度には明らかな相関関係が見られました。Facebook を使えば使うほど、人は悲観的になるのです。その2週間、Facebook を使用する頻度が高ければ高いほど、幸福だという感情が湧きにくくなることが分かりました。
そして Facebook の使用を一旦休止するように言われた被検者は、Facebook を使い続けたグループに比べ、生活満足度も集中力も上がりました。
ここで考えなくてはならないのは、私達が幸福を求めるのがヒエラルキーにおけるポジション争いだけのためなら、一方が勝者で、もう一方が敗者という椅子とりゲームに陥ってしまうのではないか、ということです。
引用元:「デンマーク幸福研究所が教える『幸せ』の定義 マイク・ヴァイキング著・枇谷玲子 訳
人は「どれが標準点か」を常に探しつづけ、「それ以上」になったときに初めて「幸福」と感じてしまう習性があります。自分以外と比較しなければ自分の「立ち位置」が分からず、「自分が幸せなのか」も分からない…。
ねえ、私って「幸せ」なの?それとも「不幸せ」?誰か教えて?
そして自分が「それ以上」になっていると感じた途端、それを他人に誇示せずにはいられない習性も併せ持っているのです。
『国富論』という本を書き、市場の見えざる手という概念を示したスコットランドの哲学者で経済学者のアダム・スミスの言葉が、これを最も端的に表しているかもしれません。「尊敬の対象になり、仲間から認められ、ヒエラルキーの上位に立ちたいという願いは、私達が備える最も強い本能なのかもしれない」
引用元:「デンマーク幸福研究所が教える『幸せ』の定義 マイク・ヴァイキング著・枇谷玲子 訳
まとめ
そもそも「幸福」とは「自分自身が」満足しているということ。「あの人と比べれば遥かにマシ」「あの人の足元にも及ばない廃れた生活をしている」。そんな風に「自分以外の」他人と比較しなければ、自分の幸福度が分からないなんて、何だか寂しすぎますね。
今週はSNSから少し距離をおいてみましょう。そしてトーストの焼けるいい匂い、子どもの笑い声、ペットとの時間、換気した時に感じる冬の訪れ…。そんな何気ない時間を楽しみましょう。
そうして気付いたあなただけの「幸せの定義」は一体なんでしょう?そんなことを模索する時間もまた「幸福度を上げる」時間なのかもしれませんね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。