ほの暗い部屋の一角に小さなランプが灯る場所。
ここは悩める人間のお話を長くてかわいいお耳で聞いてあげる、うさぎちゃん先生の「人間ほんわか診療所」。
さあ、今夜もお客さんがひとりやってきましたよ。
うさぎちゃん先生~。今日は「リラックス」について教えて欲しいなー。
リラックス??ママはうさぎちゃんを毎日抱いて、毎日リラックスしてるでしょ~。
そうだけどね…。何か寝る前ってあれこれ考えちゃって、もう脳内マラソンが止まらなくてすっごく疲れちゃうんだよね。
リラックスしてから眠りにつくと、次の日の疲れが全然違う!!っていうじゃない?そうなりたいの。
そうだねー。一番簡単なのは、うさぎちゃんにたっくさんおやつをあげて喜んでいるところを見る!っていう方法だけど。
…それ、ダメでしょ。うさぎちゃん、おやつ食べ過ぎは病気になるよー。
うーん、残念。じゃあ「イメージ療法」ってのはどお?
ああ、「良い状態を頭の中でリアルに想像する」って、アレね。
ん~、でも仕事で成功!とか息子くんが癇癪起こさず毎日ハッピー!とかって、寝る前に想像するの、結構大変そう…。だってめちゃめちゃ非現実的な世界なんだもん…。
まあ、確かに現実から程遠いと「想像すること自体」が既に疲労困憊しちゃうけどね。
そうじゃなくてね。ママは南の島大好きで、昔はたまに旅行してたでしょ?そこで「のんびり冷た~いトロピカルジュース飲みながら青い海を眺めている」記憶を思い出してみて?
ん~…。あ、ホントだ。「現実的じゃないこと」を想像するより、「実際に体験したことのある記憶」を思い出した方がすぐにリラックスモードに入れる!
そうでしょ?「体験したことのあるリラックスした時の記憶」を思い出した方が、遥かにスピーディーで確実なリラックスを脳内に届けてくれるんだよ。
失恋した時の記憶を思い出した時は目頭が熱くなる。数日前言われた嫌味をふと思い出した途端はらわたが煮えくり返る。
人間はそのときの「記憶」を思い出すことで、その瞬間に感じた「身体の変化」も連動して思い出すんだ。
だから心底リラックスした時の情景を思い出すだけで、身体も連動して、緊張していた筋肉が緩んだり、脳内にアルファー波が発生するんだよ。
ホントだ。こんな簡単にリラックス効果のあるアルファー波を自分で出せるのね!すごいわ!
とっても手軽でしょ?「露天風呂で川の流れに耳を傾けている」「子どもが産まれたばかりの時に握ってくれた指の感触」「高級ホテルのロビーで飲むコーヒー」「これから旅行だぞ!とワクワクしながら待つ新幹線のホーム」。
そんな実際に体験したワクワクしたこと、ゆったりした気持ちになれた記憶を思い出すだけで、職場でもカフェでも寝る前のベッドの中でも、一瞬でリラックス状態に自分を置くことができるんだ。
身体を連動して緩めることができるなんて、「記憶」ってすごいよね。
そうね。人間って複雑そうで実はとっても単純なものなのかもね。
今夜は南の島の旅行を思い出して寝ることにするね。うさぎちゃん先生、ありがとう。
うんうん。だからおやすみおやつ、今夜ははずんでね!
うさぎちゃん先生の人間ほんわか診療所。今宵は終了です。
いつもより大きめのレタスと大好きなむきえん麦をお皿に入れてもらったので、猛ダッシュでお皿に飛びつくうさぎちゃん先生でした。
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。