こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
今日は繊細で柔らかなタッチの絵が主役の本「世界の本屋さんに聞いた素敵な話」のご紹介です。
全ページが絵葉書級の素敵なイラスト
この本のおススメは、実は文章よりも「イラスト」。ノスタルジックな印象を纏った、ソフトで美しい「実在する世界の本屋さん」が描かれています。
著者はニューヨークの有名なイラストレーターで作家でもあるボブ・エクスタイン。全体的に明るい画風で、リゾート感満載。見ているだけでなんだかゆったりとした気分になれます。
文章も少なめなので、のんびりとした休日にぱらぱらめくる本としてはもってこい。全ページがまるで夢物語の映画をみているような、素敵な雰囲気の本です。
そんな世界の夢の本屋さんを数店ご紹介します。
THE GOLDEN NOTOBOOK
ゴールデンノートブック。ニューヨーク州ウッドストック。
娘さんのための本を探しに来た男性がいました。児童書の仕入れ担当のギーラ・ピアソンは、本のディスプレイに使う段ボール製のスタンドを組み立てようと苦労しているところでした。だから「喜んでお探しします。それに、このスタンドをつくるのを手伝ってくださったら2割引きにしますよ」と言うと、その人は「いや、割引は結構。でもお手伝いしましょう」と言ってくれました。
そのお客さんはギーラと床に座ってスタンドを組み立ててから、本を1冊買って帰りました。
すると、店の奥で仕事をしていたギーラの娘が言ったんです。
「今の人、誰だかわかった?右目と左目の色が違ってたでしょ?デヴィッド・ボウイよ」
引用元:「世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話」 ボブ・エクスタイン・著 ギャリソン・キーラー・前書き 藤村奈緒美・訳
PARNASSUS BOOKS
パルナッソス・ブックス。テネシー州ナッシュビル。
店にはピアノがあり、文学雑誌も発行しているほか、2016年にはジョージアの図書館からイーベイでバンを購入し、移動書店も始めた。学校、大学、企業、資金集めをしている非営利組織と連携し、文学講演のシリーズでは、ドリス・カーンズ・グットウィン、ドナ・タート、キャロライン・ケネディなどの人気作家をこの町に呼んでいる。
「私は小売業に興味はありません。書店を開くことにも興味はありません。でも、書店のない街に暮らすことにも興味はないんです」
引用元:「世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話」 ボブ・エクスタイン・著 ギャリソン・キーラー・前書き 藤村奈緒美・訳
この文章を読んで、私自身ハッとしました。私も書店のない街に暮らすことに興味がない、ということに気付いたのです。
田舎の実家に帰省すると、のんびりとした人の流れや渋滞のない道路にホッとします。いつも時間に追われて、人の視線にうつむいて、心無い言葉に胸をかき乱されてばかりの生活。そんな憔悴しきった気持ちが、のんびりとした空気感と海の風に少しだけほぐされていきます。
でも帰省から戻ってきて、今住んでいる街の大型書店に行くといつも思うんです。「ああ、おっきな本屋さんのある街はやっぱいいな…」って。
私の田舎にも書店はいくつかありますが、小規模で置いている本の数も少ないです。雑誌や小説が多く、息子の好きな科学系の本や私の好きな実用書は高価なのであまり置かれていません。
図書館もしきり。蔵書数も少なく、新書が入る冊数も少ないので、いつ行っても「もう読んだ」本ばかりです。
田舎と街はそれぞれいいところと不満なところがあって、選択に迷いますが。「大型書店が何店舗もある」「図書館の蔵書が多く、新書もよく入る」街は、私にとっては魅力的ですね。
LIBRERIA AQUA ALTA
リブレリア・アクア・アルタ。イタリア・ベネチア。
リブレリア・アクア・アルタは、カッレ・ルンガ・サンタ・マリア・フォルモーザという通りにあり、裏のドアを開ければ細い運河に出る。ポスター、絵葉書、美術品もあり、新刊書か古本かを問わず、さまざまな言語で書かれた本を何千冊も扱っている。
ベネチアでは増水が日常茶飯事なので、この店ではバスタブや樽やカヌー、さらには大きなゴンドラまでもが本棚代わりにされ、詰め込まれた古本や新刊書ごと水に浮かんでいることも多い。
2015年2月の増水のときには、お客たちは深さ60センチの水につかって本を見た。古くてずっしりした百科事典など、水に濡れてしまった本の多くはもう売り物にはならなかったが、家具や塀の代わりにしたり、さらには積み上げて階段にするなどして再利用された。
引用元:「世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話」 ボブ・エクスタイン・著 ギャリソン・キーラー・前書き 藤村奈緒美・訳
水に浮かぶ書店なんて、幻想的で絵になりますね。実際は不便で大変なのでしょうが、それもベネチアならでは。「世界一美しい書店」と自称するだけはありそうです。
日本だったらコンクリートの河川護岸をガンガン作って周囲をゴンゴンかさ上げして、山を切り開いて災害にも負けないどでかい送電線をはりめぐらせて街全体を作り直すのでしょうが…。
増水と共に歩む暮らし。利便性だけを追求し、そこからはもう這い出せない生活を送っている私たちにとって、ベネチアの水上書店はまさに「幻想的な世界一美しい」書店なのかもしれません。
まとめ
食後のひとときやおやすみ前に。ぱらぱらめくってのんびりとした時間を楽しめる絵本のような「世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話」をご紹介しました。
絵葉書のような素敵なイラストが推しの1冊。書店や図書館で見かけたら、是非手に取ってみてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。