こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
「何回言っても聞かない」…。育児中なら誰もが一度は口にする言葉。
私達発達障害児を育てる親は、この言葉を「何百回、何千回も」つい口にしてしまいますよね。
今日はそんな「行動を起こさせる」難しさについてのお話。
「理由が分からない」から騒ぐの?
たまに発達障害児の育て方の本で「彼らは理由がわからないから騒ぐのです」という文章を見つけることがあります。
「授業中に座っていないと他の勉強している子達の迷惑になるから」
「きちんと並んでいないと1年生に『かっこいい3年生だな』と思われないから」
「コンビニなんかで駄々をこねて騒いでいると、お姉ちゃんとして恥ずかしいよ」
「騒ぐことで周囲が困ること」「恥ずかしい行為だということ」そんな理由をちゃんと教えてあげないから騒ぐのだ、と謳います。
「理由が分かれば発達障害児でも教えを聞き入れることができます」「大人たちはそんな『理由をちゃんと説明する』という手間を省いているのです」
それは確かに一理あります。自分の視界が非常に狭い発達障害児は、騒ぐことによってまわりがどう迷惑を被るか、自分がどう見られてしまうか、というところにまで考えが及びません。
ですから「あなたが騒ぐことによって起こる周囲への影響」「あなた自身への偏見の目」という、もっと広範囲の目線をときどき教えてあげる必要はあります。
彼らは小学校高学年になっても、その辺がいまいち不得意だからです。
理由がわかっただけでは行動は変えられない
しかし何十回理由を教えてあげても、発達障害児のその行動はほぼ変わりません。
発達に個人差はありますが、大体高学年になってくると「説明された理由を理解し」「納得して」「一瞬は理性が働く」ことはあるようですが、それは本当に「一瞬」です。(笑)
女の子の場合は「こう思われたら恥ずかしい」という感情が早くに育ちやすいので、3、4年生頃から少し落ち着きが見られる子もいますが、男子はなかなかそうもいかないのが実情です。
そう。人は「理由」だけではなかなか行動を変えられないのです。
変えられるのは、その行動によって得られる何かしらのメリットがあるとき。
例えば3歳児の子に「ここを出るまでお口を閉じていられたらチョコレートアイス、ご褒美に買ってあげるよ」とか。
上司に「キミ。今週残業手伝ってくれたら、次の三連休にもう一日休みを取って旅行に行きたいっていう話、許可してもいいよ」とか。
子どもだけでなく、大人の私達もその行動を変えられるのは自分自身に何かしらの「見返り」があるとき、です。
「周りの人たちがうるさいって思うから静かにしようね」「今週いっぱい残業しないと次の仕事に取り掛かれないから、頑張ってやってもらいたい」なんて、それをやらなければいけない「理由だけ」を言われても、「我慢しなければならない」気持ちだけでやる気はあまり起こりません。
「理由を説明しただけ」で「自ら行動を変えてもらう」ことは、非常に難しいのです。衝動性や多動性をセーブすることが苦手な発達障害児たちには、それはなおさらですね。
モノで釣るのではなく「楽しそう」「面白そう」という「気持ちの上昇」を利用する
どうしたらこの子たちの「行動」を変えることができるのか…。
それは「行動そのものが面白そう」「楽しそう」と思わせること。
興味が向けばすぐさま飛びかかってくる好奇心旺盛な発達障害児たち。
彼らの行動を変えさせるのは、この「面白そう」「楽しそう」なことが一番効きます。
片付けを親と競争ゲームのようにして勝たせる。
「1ー1/4=?」という計算式の下にホールケーキと1/4に切られたケーキの絵を描いて「イチゴケーキとチョコケーキ、どっちが好き?」なんて言いながら一緒に考える。
「体育に参加したくない」という子に「参加しなくてもいいから校庭までは行こうよ。今まではそれもできなかったんだから、外に出ただけでも4年生になったな!って先生も嬉しくなっちゃうからさ」と子どもの自尊心をくすぐる言葉を添える。
簡単なようで、こちらにとっては手間も(そのイラつく態度に我慢しながら接することによる)忍耐も必要な技。ですがモノで釣る、なんていう一時しのぎの対処よりもはるかに子供の心と行動に響きます。
まとめ
私達も人間ですから、イライラするときがあったり体調が悪かったり、毎回毎回このような対応ができるわけではありません。
それでも出来る時は手間をかけ、辛抱強く相手をする。その小さな積み重ねが、彼らのすぐに後ろ向きになる気持ちを持ち上げ、その行動の変化を促します。
あなたがかけた「手間」と「愛情」は、今すぐにその変化を見ることができないかもしれませんが、確実に彼らの中に蓄積していきます。
「相手の行動を変える」ことは「発達障害児だから難しい」んじゃなくて、「みんな難しい」んだよ。偏屈な上司の行動だってそうそう変わらないでしょ?
難しいこと、面倒なこと、メリットが感じられないことに人は興味を持ちません。何だか面白そう、楽しそうと思うことで初めてやる気が起きるのです。
なんか楽しそう…!な口調で誘われるだけでも気分が変わるときだってあるんだよ。プラスの方向に意識が向くと、出来なかったこともスッと出来るようになったり、それまで頑なに執着していたものから離れることが出来たりするんだから、「楽しそう」ってすごい効果があるんだね!
本日も最後までお読みいただいてありがとうございました。