こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
今日はひとくくりにはできない発達障害児の「癒される音」「イラつく音」。
「落ち着く音」の定番とは
発達障害に関する本を読んでいると、気持ちの安定を保つために「音」に頼ってみる、という提案が出てくることがあります。
代表的なのはクラシックやアルファー波などの音楽をBGMにする、水槽を置く(コポコポと空気の泡が出る音ですね)、水の流れるオブジェで優しい水流の音を流す、学校のチャイムを(支援学級だけ)鳥のさえずりに変換する。
あるいは遮音効果の高い部屋で「音自体」を極力耳にいれないようにする、ノイズキャンセリング機能がついたイヤーマフを耳にかける…。
こんな感じでしょうか。
個人差はあるものの、クラシックやぷくぷくという水音などは、発達障害のみならずどんな人にもある程度やすらぎをもたせてくれるような気がします。
が、これが真逆の効果となる場合もあることを、発達障害児に関わっている方々に是非知って頂きたいと思います。
みんなが癒されても僕はイライラする「音」ってあるんだ
息子は発達障害児を専門に診て下さる先生方をときに「うーん…」と唸らせるほど、発達障害の症例であまり例の見ない特性をばんばん打ち出していく、発達障害児のホープ(笑)です。
息子担当の主治医はそれをとても面白がって聞いてくれるので、いつも自分の事を話さない息子も時々考えていることを話してくれます。
親には意外と話してくれません。第三者が聞き出す「内容」は、親としてもカウンセラーとしても「へえー、そんなこと考えていたんだ」なんて感心したり落ち込んだり…。自分の感情や行動の意味が「本人にもよくわからない」発達障害児にとって、こうして信頼できる第三者との話が、なにかに気付く「成長のきっかけ」になることは多いですね。
そんな息子。激しい癇癪を起こして教室を飛び出したりした時は、中庭の見える廊下で佇んだままトンボを見ていたり、屋上に続く誰もいない階段に座り込んでいたりしたそうです。
たまに支援教室の先生に廊下で出会って、支援教室に招き入れてもらったりしたそうですが(この頃は普通学級に在籍していました)、息子曰くその支援教室にはイライラするものがあるから逆に爆発しそうになることもあった、とのこと。
そのイライラするものの正体。それはなんと、一般的に「癒し効果が高い」とされている「水槽のコポコポという泡の音」。
実際その音で気持ちが落ち着く、という子がいるので教室に置いていたのだそうですが。
えー?あのコポコポ音、癒されない…??
私自身はすごく心地いい音だと思うのですが、水槽の近くの席に座るとコポコポ音がイライラを誘発するのだそうです。
同じ発達障害児でも、その音で「気持ちが落ち着く子」と「感情を逆撫でさせられる子」がいるんですね。
感じ方や性格・特性はみんな違います。本に書かれている「一般的な」特性を鵜呑みにせずに、目線を合わせてそのココロを紐解いていく忍耐力が、大人には必要です。
発達障害児だって、みんな「違う」
よく考えてみれば、人間はみんなちょっとずつ考えや感覚が違うことは当然なのですが。
専門書やお医者さん、カウンセラーの方々に勧められる「発達障害児を落ち着かせてくれる」作業や音。
それらは単に「うちの子には効果がなかった」という作用の強弱だけでなく、「かえって苛立つ!!」なんて正反対の効果をもたらすこともあるんだなー…ということが、息子のこの発言によって分かりました。
…って、そんな発見しても、ガックリするだけなんだけど…。
専門家が推奨するモノがなかなか通用しない息子。
それだけに、試行錯誤しながら毎回新たな手法を編み出すため日々頭を悩ませている私ですが。
そんな中で「だから人はみんな違うんだってば!」という基本概念を、こんな風に息子に痛いほど突き付けられています。
そうなんですよね…。私達はすぐ次の瞬間にはそのことを忘れちゃう。
だから息子は「一般的に良いとされるものの斜め下」の反応を、こうして毎回勉強しない母親にご披露して考えを改めさせているのかもしれません。
ちなみに「一般的な癒し効果音」とされる秋の虫の音、クラシックの一部ジャンル(バロック音楽)、波の音などは落ち着くそうです。
何もかも人と真逆、というわけではないのですね。(笑)
僕はそこまであまのじゃくじゃないよ。「一般的に効果が高い」と言われている20%くらいのものなら当てはまることも(時には)あるんだよ。
それから「好きだけど、落ち着くというよりは興奮する音」もあって、音叉の音、柔らかな水流音、バロック音楽以外のクラシックなどが該当する、という息子談。
水流音と波の音などは、どちらも「水に関する音」だから癒されそうな気がするのですが、息子の話では全然違うそうです。
ずっと同じ音が続く「流れる水の音」は、変化を好まない自閉症スペクトラムの特性が強い子の方が好きなのかもしれません。
同じ自閉症スペクトラムでも、ADHDを併せ持ち、どちらかというとADHD特性の方が強く出ている息子にとっては、「波の音」の方が強弱や早さに若干の変化があって一定ではない、という要素で心地よく感じる音なのかもしれませんね。
同じく息子のような感じの子でも、「音はどんな音でもイライラするっ!」という子もいるので、本当にひとくくりにはできませんが…。
まとめ
こんな風に自分の感覚を教えてくれることが最近ほんの少しですが出てきたので、こうして皆さんにお話して、彼ら発達障害児の様々な感覚や思考を共有することができるようになってきました。
本当に星の数ほどもある彼らの「型外れの」感覚。
その感覚の一例として知って頂けたなら。それがまだ自分では説明できない発達障害児のお子さんを知る手がかりの一端になれるかもしれません。
その感覚が「理解はできなく」ても「そういうこともあるんだ、と知る」だけで、彼らに向ける眼差しの温度が、少しだけ温かくなれるんじゃないかな。
そう、思っています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。