こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
今日はおしゃれで自由な人生を謳歌していそうに見える「フランス人」の実際の生活と、そんな生活から改めて見えてくる「現代日本」について、フランス人男性を夫に持つ著者が綴った「フランス流 しまつで温かい暮らし」という本のご紹介です。
日曜日の過ごし方
意外なのですが、フランスでは週末におばあちゃんの所へ行かないと怒られるのだそうです。
いつもお洒落な恰好をして颯爽と街を歩き、週末の朝はパートナーが焼き立てクロワッサンを買ってきてくれて、ベッドでのんびりとした朝食を…。というフランス人の著作本を何冊か読んでいたのでびっくりでしたが、それは「パリの都会に住むごく一部の人たちだけ」だそうで、一般には前述の「日曜日の過ごし方」が普通なのだそう。
日曜日のお昼には実家へ行って、祖父母と食事をするのが毎週の決まりで、孫を連れて行かなくちゃいけない。
そのため、日曜日に子ども同士を遊ばせたい、と筆者がフランス人駐在員家族の方に提案すると、「日曜日は家族の日です」ときっぱり断られたそうです。
フランスでは日曜日が休息日なので、お店もデパートも全部閉まっています。そのため午前中にスポーツなどをして、お昼におばあちゃんの家へ行き、午後いっぱいゆっくり食事や会話を楽しむのだそうです。
日本だったら若い夫婦は「面倒くさい、うざい」となるだろうし、来られる祖父母宅も「食事にたかりに来る。支度は大変だし孫はうるさいし自由時間がなくなる」と、双方憤慨してばかり…という話を聞くことが多いですが。
おもしろみがない、と感じますか?
日本では核家族化が進んで、休みの日の娯楽は買い物だったり、遊園地やアミューズメントパークや映画を観に行ったりして、お金をかけて遊ぶことばかり。常に外からの刺激がないと、おもしろく感じなくなってしまっている日本の私達のあり方が、本当にいいのだろうか、という気もします。
人生の豊かさってなんだろう…って、フランス人の暮らし方や生き方を見ていると、たびたび考えさせられるんです。
引用元:「フランス流 しまつで温かい暮らし」 ペレ信子・著
この文章を読んで、確かにそうだよなあ…と思いました。
我が家は息子が発達障害児で、そのため義母からは「2時間しか見たくない。家にも上がらないでほしい。会うのは外でだけ」と言われていましたが。
発達障害の孫でなくとも、今のおじいちゃんおばあちゃん世代は元気で多趣味なので、「帰省してほしくない。来られると迷惑」と多くの方の口から聞きますね。
人間関係が、血縁でも希薄になってきた現代日本。
いざというときに孤独感に苛まれて精神を病んでしまう人が増えてきたのは、人生の豊かさをお金や刺激だけに偏らせすぎてきた代償なのかもしれません。
「与えられるもの」を常に求める日本人
そしてフランス人はバカンスに行っても観光地巡りはせず、外食もほとんどしないそうです。
たいがいのフランス人は夏のバカンスには、国内外のどこかへ家族で行き、そこにずっと滞在するのです。ホテルに泊まるのではなく、貸別荘や貸家、親戚の家などを借りて、そこで寝起きして過ごします。
忙しく観光地をまわったりしていれば、家族とじっくり話もできないし、結局疲れて帰ってきて、また現実に戻るだけの休みになってしまいます。
日本人は、休日にはみんながいいと言っているところへ行きたがったり、外部からの刺激や情報といった「与えられるもの」を常にもとめているように感じます。
だけど、フラン人の場合は「時間」なんです、大事なものが。
引用元:「フランス流 しまつで温かい暮らし」 ペレ信子・著
これはすごく分かります。私達夫婦は南の島が大好きで、海外にも何度か行っていますが。
観光地を巡った旅ももちろん楽しかったのですが、一番印象に残っていて、「ああ、またあんな時間が過ごしたいな」と至福の想い出となっているのは、小さな島で観光もなく、ただ毎日泳いだり、海辺での食事を楽しむだけの旅行です。
お友達に言うと「なんで海だけの島にお金払うの?」(ご当地グルメや観光地に一切行かない旅行って意味あるの?もったいない!)とよく言われていましたが(笑)。
マチュピチュやピラミッドにも、もちろん行ってみたいです。でも毎年海外旅行へ行けるほどの余裕はない。
発達障害児息子の対応に疲労困憊している私にとっては、「観光地巡りしてバタバタ過ごすよりも、綺麗な海を見ながらゆったりした時間を過ごす」方が、ずっとスッキリするんですね。
マチュピチュやピラミッドは、テレビの世界遺産で脳内旅行!することにしています(笑)。
家族との対話の大切さ
この本の中で、私が特に惹かれた箇所があります。
子どもが嫌がっても、美術館や博物館にどんどん連れていく。うちの夫も子どもの頃に年中連れていかれて、嫌だったんですって。
小さい頃は絵画や彫刻を見ても、何が面白いのかわからないし、思春期になると親についていくこと自体、めんどくさくなりますものね。
小さい子に「嫌だ」と言われると、日本の親はひるむじゃないですか。本当は楽しんでもらいたいのに、「やだ、ママ」と言われたら、それじゃあ子どもが喜ぶ遊園地にしようか、と思ってしまう。
ところがフランス人の親は「やだ、ママ」と言われたら「いいの。ママはこれが見たいんだから、見ましょう」と毅然としています。
そしてただ見せるのではなく「この絵を見てどう思う?」と問いかけます。本当は遊園地へ行きたい子どもは「わたし、こんなの嫌い」とか言いますよね。そんなときもひるまずに「うん。あなたは嫌いでもいいの。私はこれが凄く素敵だと思うから、それでいいの」と返すのがフランス人なのです。
人と話すことをフランス人は大切にしますが、家族関係においては、なおさらです。
人が一対一で向き合って、言葉の受け渡しをする「対話」は、時間と場所とタイミングが整わないとできないもの。
それでも家族という同じ船に乗る人と、お互いが見ている方向を確かめるために、とても大事なものです。会話や対話を続けていくことが、「温かい家」の礎なのだと思います。
引用元:「フランス流 しまつで温かい暮らし」 ペレ信子・著
我が家も博物館や美術館へよく息子を連れていきます。
自分の興味の幅が非常に狭い発達障害児のため、余計に「見たくない!」と癇癪を起こして暴れることもあり、無理に見せるよりは遊園地の方が…と悩んだこともありましたが、これを読んで、そっか、みんな子どもってそんなもんだよね、と安心しました。
本人の興味のない場所に敢えて行く必要はない、楽しいことだけ体験させなさい、という方もいますが。
私は心に重くのしかかるような場所や絵画などでない限りは、興味や価値観の幅を広げる手助けをすることが、逆に息子のような子たちには大切なのではないかな、と思っています。
家族だからこそ、経験や対話を通して、お互いの「見ている先の風景」を確認し合う。とても根気がいることですし、「面倒なことが嫌い」で「即効性を求める」現代人の一番苦手なことですが。
結局はそれが一番、「安定したココロ」と「周りの意見に流されない、いい意味での自分を持つ」ことに繋がっていくのではないかと思うのです。
まとめ
今日はライトな本のようで、実は結構奥深い「フランス流 しまつで温かい暮らし」をご紹介しました。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。