こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
今日は「意識する」だけでこんなに違う!ピグマリオン効果についての「ちょこっと心理学」です。
ピグマリオン効果の実験
これはアメリカの心理学者ロバート・ローゼンタールによって実験されました。
実験は1964年、サンフランシスコの小学校で知能テストを行ったもの。
この知能テスト自体は一般的なものだったのですが、教師には「将来知的能力が急速に伸びる児童を判別できるテストだ」と事前説明してから行われました。
その後、テストの結果には全く関係なく、ランダムに選んだ児童について「この子達は知的能力が今後急速に伸びる児童だ」と担任に伝えました。
すると約1年後、もう一度「今後急速に伸びるであろう」と言われた児童に知能テストを実施したところ、ランダムに選ばれたはずの児童の知能指数が本当に上がっていました。
実験の結果から見えたもの
なぜこんな結果になったのか?
ローゼンタールは、教師が無意識のうちに「知的能力が急速に伸びる」とされた児童に期待をして、児童のやる気を引き出すような接し方をしたこと、児童も自分が「期待されている」と意識したことから出た結果だと説明しました。
このピグマリオン効果の活用は子どもの教育だけでなく、最近はビジネス上の人材教育などにも見られるようになりました。
ただし批判の声も少なからずあります。
あまりむやみやたらと褒めると、実力がないのに「僕はやろうと思えばできるんだ!」と過信するだけで努力しないナルシストにもなりうる、という意見です。
これは子どもを観察しながら「その子に合った適度な」期待が必要、ということかもしれませんね。
逆の効果「ゴーレム効果」
このピグマリオン効果とは逆に、期待されていないと思われていると、その期待通りに成績が下がる、という現象もローゼンタールによって確認されています。
教師や親などの監督者あるいは本人の期待が低いと、まさにその期待通りに結果が低くなりやすいのです。
周囲の「期待、という意識」と本人の「僕は伸びるだろうと思われている、という意識」は、実際の能力をより引き上げる効果があるのです。
豆知識・ピグマリオンとゴーレムの名前の由来
ところで「ピグマリオン」と「ゴーレム」。この名前の由来はなんでしょう?
ピグマリオンの名前は、ギリシャ神話に登場する「ピュグマリオーン」からきています。
ピュグマリオーンは生身の人間である女性に失望し、自分で作った理想の女性の彫刻を愛するようになります。そして彼は彫刻に「人間になってほしい」と願い続け、どんどん衰弱していくのです。
それを見かねた女神が、彫刻を本物の人間に変えてくれた、という神話です。
「ピグマリオン効果」の名前は、ここから「期待をかけられた人はその能力が本当に向上する」という意味合いで名付けられました。ピグマリオン効果は別名「ローゼンタール効果」とも言います。
また「ゴーレム」とはユダヤ教での言い伝えに登場する泥人形のことです。
ゴーレムには知能がなく、作った主人の意のままに操ることができます。額に書かれた呪文の一部を消すことにより、ゴーレムはただの泥のかたまりに戻ってしまう、というお話です。
他人からの言葉や接し方によって能力が発揮できなくなってしまう様子をこの泥人形ゴーレムになぞらえた言葉がゴーレム効果、ということになりますね。
まとめ
ココの「ちょこっと心理学」、いかがでしたか?批判的な言葉や態度が多い人は、周囲にゴーレム効果を引き起こしやすい人になってしまいます。
子どもの教育だけではなく、職場で一緒に働く人たちや夫婦やパートナー間でも同じことが言えます。
過度な期待はそれはそれで負荷となりますが、相手の能力を引き上げたい、という「適度な期待」は、現状をより良くしてくれます。
ほどよい「ピグマリオン効果」を活用できるようになりたいですね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。