発達障害だって、頑張るもん!

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注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子を持つママ・ココです。子どもを通して学んだ発達障害児への対応、工夫、その他色々な情報をたくさんの人と共有できたらいいな、と思っています。

 

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【ココのちょこっと心理学・6】 あの子の失敗は多動だから?「根本的な帰属の誤り」

黄色い背景にわからない様子の女性

 

こんにちは。ココです。

注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。

 

今日はADHDで多動・衝動性のあるクラスの男の子が窓を割っちゃった!そんな状況を聞いたときにあなたがまず思ったことは?

人がつい偏見を持ってしまうという「根本的な帰属の誤り」についてのお話。

 

● 人は他人の行動を、性格や特性などの「内的要因」から生じたと考えやすいです。しかし自分の失敗は「外的要因」に原因がある、と主張しがちなのです。発達障害児の失敗にも「外的要因」があるかも…という考えを忘れないでほしいですね。

 

 

窓を割ったのはあの子が「ADHDだから」?

 

ある小学校での休み時間。ドンッ…という鈍い音がして、教室の窓ガラス1枚に大きなヒビが入ってしまいました。

 

騒ぎを聞きつけた先生が教室についてみると、何人かの子ども達が言い合いをしています。

どうやら窓ガラスにヒビを入れてしまったのは、普段から落ち着きがないADHD(注意欠陥多動性障害)のF君のようでした。

 

クラスの子達は「Fくんがいつものようにふざけていて、窓ガラスを割って転んだ」とFくんの多動性が一因だったと言って彼を責めています。

それに対し、Fくんはかんしゃくを起こして奇声をあげ騒ぎ始めていたところでした。

 

Fくんのかんしゃくがあまりにも凄まじく、他の子達が巻き込まれてケガをしそうだったので、その日はFくんのお母さんが呼ばれ、Fくんは早退しました。

 

野原に座り込む小学生

いつも問題行動ばかり起こしているから、毎回僕が悪いって決めつけられるんだ。いつもいつも…。もう、どうでもよくなっちゃうよ…。

 

発達障害児は外的要因を考えてもらいにくい

 

担任の先生は後日Fくんのお母さんを呼んで「窓ガラスの修復にこのくらいの金額がかかった」と半ば責めるように告げました。

それを偶然ドアのそばで聞いていた特別支援教室の先生。個別にその先生がFくんにいきさつを聞いてみると、違った要因があったことが分かりました。

 

Fくんは確かにふざけて教室を歩いていました。しかしその時、クラスの子が校庭に出ようと、F君の目の前でジャンパーをバサッと羽織ったのだそうです。

 

びっくりしたFくんはジャンパーを避けようとして机に足を引っかけてしまい、体勢を崩してそのまま窓際の掃除ロッカーに激突。その拍子に掃除ロッカーの扉が開き、扉が窓に当たってヒビが入った、というFくんの話でした。

 

しかしクラスの子や担任の先生は常日頃のFくんの多動・衝動性にうんざりしていたきらいがあったため、「Fくんの多動が原因だ」と、その責任をFくんの内的要因に見出していました。

 

Fくんは大勢の子達に口々に責められてパニックになってしまい、かんしゃくに発展してしまったんですね。

 

耳をふさいで怒る子ども

発達障害児は次々責められることでパニックを起こしてしまい、かんしゃくになることが多いです。かんしゃくは本人の「助けて!」のサイン。溺れそうになっている人に「落ち着いて、息を整えて浮かんで」なんて悠長に言ってるのと同じですね。溺れてかけていれば「とにかく陸に上がりたい」んです。「息をしたい」んですよ。

 

このような例は、発達障害児は何度も経験します。

多動という特性による内的要因で起こることも多々あるでしょう。しかし「その子の特性以外の外側に、原因がある場合もあるのだ」ということも、忘れないでほしいです。

 

根本的な帰属の誤り

 

他人の失敗の原因について推測するとき、その人の能力や性格などの内的な影響を過大に評価して、失敗はそれらのことが原因である、と私達は思い込みがちです。

 

それとは逆に、状況や環境など外的な影響については過小に評価したがる傾向があります。

 

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これを「根本的な帰属の誤り」または「基本的な帰属のエラー」と呼びます。

 

根本的な帰属の誤りの実験

 

これは1967年にアメリカでジョーンズとハリスによって実験されました。

この実験参加者は、ある政治学専攻の学生が書いた、と言われる文章を読ませられます。

 

文章は一人の政治家を「評価している文章」と「批判している文章」の2つがあります。参加者はそのどちらかを選んで読むように、と言われました。

 

文章を読む前置きとして、「2つとも、この文章を書いた学生の考えを反映したものではありません。学生は教員に『評価している文章』と『批判している文章』を書くように指示されていただけです」ということが伝えられていました。

 

そして文章を読んだ直後、実験参加者は「この学生は、本当はどう思っていたのか」を推測するように、と言われました。

すると、「評価している文章を書いた学生」に対しては「きっと本当に評価しているのだろう」と推測され、「批判している文章を書いた学生」に対しては「本当に批判の意があるであろう」と推測されました。

 

「教員に指示されて書いただけ」という前置きがあったにもかかわらず、実験参加者は「本当にその人はそう思っていた書いた(その人の内的要因によって書かれた)」と錯覚してしまうのです。

 

これは略奪愛ばかりを演じる女優さんが、実際にも「きっと不倫ばかりしているんだろう」と思われがちなのと一緒ですね。

 

ハートのクッションを抱える女性

 

行為者・観察者バイアス

 

これは情報量の差によって生じる、と考えられています。

F君の場合では、行為者(F君)は周りの子たちが知らない情報(クラスメイトが目の前でいきなりジャンパーを広げた)を持っています。しかし観察者(クラスメイト)はその情報がありません。

 

人は物事を理解しようとするときに「より簡単に、脳に負担がなく」処理しようとするため、「わかりやすい原因」を起用しようとします。

 

あなたがダイエットに失敗したのは、「最近会社の歓送迎会が続いて、飲み会が増えたから」(外的要因)と思うのに対し、他人は「糖質のあるものには手を出さないとか、週末に断食とかできるのに。結局自己管理能力が弱いのよね」(内的要因)と思ったりする。

 

眼鏡をかけた男の子のアイコン





人は無意識に帰属の誤りをおかしがち…。そんなことを常に頭の隅に置いて考えてみてね!

まとめ

 

F君のような事件は、発達障害児がよく遭遇すること。

息子も同じような経験を何度も重ねました。そのたびに彼らは自尊心を傷つけられていきます。

 

自閉症スペクトラムでもある息子は、「自分にもそれなりの理由がある」ことを話すことができません。

語彙も多く、理路整然とした化学の実験結果報告もできるのに、なぜ?と思われがちなのですが、それが「特性」なのです。

 

自分側の理由もある、ということを説明する練習を家庭ではしていても、実際は難しいんですね。

 

うさぎのアイコン





もう面倒くさくなって「自分が悪者でいいや」と、終わらせてしまうことばかりしているんだよね…。

 

朝から夜までぴったり子供に張り付いて学校生活を送るなんてことは現実的にはできないので、「いつかできるようになったらいいな(20年後かもしれないけどね…)」と練習だけはしておいて。

あとはもう、「ママは理由が分かったよ。そうだったんだね」という理解と「それでも君が大好きだよ」という愛情を伝え続けるだけ。

それだけしかできませんが、それが重要かな、と思っています。

 

「根本的な帰属の誤り」。ここで覚えていただいて、「実は別の理由があるかもしれない」発達障害児の問題行動、ほんのちょっとでも理解していただけたら幸いです。

 

ココのちょこっと心理学、お楽しみいただけたでしょうか?

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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