発達障害だって、頑張るもん!

発達障害だって、頑張るもん!

注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子を持つママ・ココです。子どもを通して学んだ発達障害児への対応、工夫、その他色々な情報をたくさんの人と共有できたらいいな、と思っています。

 

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【発達障害児のソーシャルスキル・トレーニング】 ソーシャルスキル・トレーニングって何だろう?

水色の背景に風船を持つ子ども達

 

こんにちは。ココです。

注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。

 

最近よく耳にするようになった「ソーシャルスキル・トレーニング」という言葉。

発達障害児の療育でも登場する「ソーシャルスキル・トレーニング」って、どんなことをするの?

今日はそんな「ソーシャルスキル・トレーニング」についてのお話です。

 

● ソーシャルスキル・トレーニングとは、対人関係の困難を持つ人のための「対人スキル」を訓練するものです。発達障害児全般に有効とも言い難い側面を見てみましょう。

 

 

行動「パターン」を学ぶトレーニング

 

発達障害やコミュニケーション困難者の方によく紹介されるようになった「ソーシャルスキル・トレーニング」。「SST」という略称でご存知の方もいるかもしれませんね。

 

ソーシャルスキル・トレーニングとは、社会生活の中で、人との関わり方やコミュニケーション技術を鍛えていく訓練方法です。

 

日常の挨拶から相手の様子を見ながら言葉を選ぶこと、自分の感情をコントロールすること、自分の要望を相手に伝えること、遊びへの適切な誘い方など、自閉症スペクトラム障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)等の発達障害児が特に苦手なスキルを練習していきます。

 

うさぎのアイコン





ソーシャルスキル・トレーニングには様々なやり方があるんだけど、「ロールプレイングゲーム」や「場面カード」を使ったトレーニングが一般的には多いんだって!

 

具体的にはどんなことをするの?

 

  ロールプレイングゲーム

ここでは例として、上記の「ロールプレイングゲーム」と「場面カード」のお話をしていきますね。

 

眼鏡をかけた男の子のアイコン





「ロールプレイングゲーム」は、「役になりきって」「こんなときはどうする?」というような困った場面を想定して、その場合どう振る舞ったらいいのかを考えながら練習するゲームなんだよ!

 

例えば「今日は公園で遊んでいる場面ね」と遊んでいる場面を想定させて、しばし友達と遊ばせます。

「あ、Aくんはちょっとトイレに行きたくなっちゃった。でもここの公園のトイレはどこにあるかわからない。困ったな。Aくん、どうしようか?」

 

そうやって本人に考えさせたり、「友達にきいてみるのはどうかな?」と提案して、友達に「トイレどこにあるか教えて」という会話を練習したりします。

 

中学生などでは「高校受験会場に来ました。ところが学校が広すぎて、自分の受験する教室がわかりません。そんなときはどうしたらいいだろう?」

「友達の家に遊びに行った帰り、暗くなって道が分からなくなってしまった。君は携帯電話もない。そんなときはどうしようか?」

 

こんな風に色々な場面を想定して、困った時の対処の方法を一緒に考えたり、練習したりします。

 

このロールプレイングゲームは、一般的な療育施設や放課後等デイサービス、学校の支援級などで使われることの多い手法です。

 

考える女の子

社会人発達障害当事者の自助グループなどでも、このロールプレイングゲームを行うことがあります。また一般の社会人の新人研修、自己啓発セミナーなどでも幅広く活用されていますね。

 

  場面カード

 

眼鏡をかけた女性のアイコン





「場面カード」は、様々な日常の困りごとがイラストで描かれているカードを使います。

カードのイラストを見せながら「こんなときはどうしたらいい?」「何て言ってお願いする?」などを考えさせて、適切な行動を指導していく、というものです。

 

幼児や小学校中学年くらいまでが適当かな、と思いますが、市販のカードには高校生や社会人対応のものもあります。

 

多くの場面カードの裏には、適切な行動と会話が例を挙げて書いてあります。

市販のカードを使えば手軽にできますし、イラストがお得意であればご自身でスケッチブックに描いたものを使うこともできますね。

 

「場面カード」は、ご家庭でのソーシャルスキル・トレーニングとして人気の手法のようです。

 

ソーシャルスキル トレーニング絵カード

 

SSTをやればスキルが育つ!…わけではないことも

 

もともとは精神障害を持つ患者の社会生活訓練として考案された手法であるソーシャルスキル・トレーニング。

 

今や自閉症スペクトラム障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の児童だけではなく、矯正施設や養護施設、コミュニケーションの困難がある社会人や学生など、幅広い分野の人たちが訓練を受けるようになりました。

 

しかし、特に自閉症スペクトラム障害を持つ人にとっては「練習した場面と実際の場面との微妙な違い」において、行動や言動を調整していくことが困難です。

 

「教室に入ったらおはよう、と声をかけるといいね」と訓練したのち、コンビニに入ると、商品を見ている全ての人に「おはよう」「おはよう」「おはよう」と声をかけ続けてていた。

 

「全校集会の時は座ってじっとしているように」という場面カードを練習した数週間後、暑すぎて具合が悪くなってきたのに、我慢しすぎて熱中症になってしまった。

 

「遅刻した理由を言いなさい」と先生に言われて「寝坊しました」と答える練習をして半年後、やむを得ない事情で遅刻したときも「寝坊しました」と答えてしまい、再試験が受けられるチャンスを逃してしまった。

こんなことがよく起こります。

 

そのたびに新しい場面をまた練習するのですが、現実は微妙に毎回違うことが多い。

 

「場面をパターン化して覚える」ソーシャルスキル・トレーニングは、いくら練習しても、「設定通りでないと」生かせないというデメリットがあるため、「より多くの」パターンを習得しなければなりません。

 

そのため、「練習したパターン以外の場面では混乱してパニックになる」「たくさんのパターンを覚える必要があるため、過剰訓練になりやすい」「そもそも困難さの強いジャンルなので、本人の負担が大きい」などマイナス要因も多いのだ、ということを念頭に置かなければなりません。

 

個人的には注意欠陥多動性障害(ADHD)の子には有効かな、と思いますが、自閉症スペクトラム障害の子の場合、訓練するにあたってはかなり注意が必要かな、と思います。

 

まるとばつ

数学の公式のように、このときはこう!ってゆるぎない「正解」があるものだったら、できるんだけどな…。

 

息子の場合

 

我が家でソーシャルスキル・トレーニングは導入しませんでしたが、小学校の一時期行っていた放課後等デイサービスや支援級で、息子はソーシャルスキル・トレーニングの訓練を受けていたようです。

 

しかし「無意味でくだらない」「幼稚園児じゃあるまいし、やってらんない」と思っていたそうで、訓練時間が逆に「かんしゃく勃発要因」となっていました。

毎回暴れて拒否して逃げ出していたみたいですね。

 

中学校の情緒支援級のときは、さすがにかんしゃくを起こすことはないものの、かなりイライラして、時に暴言を吐いたりすることも数回ありました。

 

息子のように「逆にストレス過多」「かんしゃく要因」となる子もいます。

 

ソーシャルスキル・トレーニングは、特に資格や勉強会がなくともできることになっているので、理解不足の指導者の「ちゃんとやらないとだめでしょ」の叱咤にますますかんしゃくボルテージが上がってしまい、手が付けられなくなる、ということもあります。

 

「発達障害に有効な手法」というのは「一部の人に」有効だというだけで、「発達障害者全員に効果がある」というわけではありません。

 

眼鏡をかけた女性のアイコン





効果を期待するあまり、「本人にとってその訓練は逆に負担ではないのか?」という点を忘れないようにしたいですね。

 

まとめ

 

今日は最近よく目にするようになった「ソーシャルスキル・トレーニング」についてお話しました。

 

子ども達の困難をサポートするのに、「全員に効く」手法は存在しません。

「有効な技法」という言葉に惑わされずに、その子自身をじっくりと観察して、なるべく負担のないように。時間をかけながら導いていってあげたいですね。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。