こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
発達障害児の中学生には、どんな進学先があるんだろう?と悩む保護者の方や支援級・グレーゾーンの子たちへ、こんな進学先もあるよ。というお話の第5弾。
今回は「障害者職業能力開発校」と「職業訓練」、「就労移行支援」、「就労継続支援」についてのお話です。
仕事のスキルを磨く学校
前回は知的障害を伴っていて、「療育手帳」をお持ちのお子さんが対象となる進学先「特別支援学校高等部」と「高等特別支援学校」のお話を第1弾で。
第2弾では知的障害があっても学科によっては入学可能な「高等専修学校」と、即戦力のあるエンジニアを育成する「高等専門学校」を。
第3弾では一般的な進学先である「普通高校」と「専門高校」について。
第4弾では、自由度が高い「定時制高校」と「通信制高校」、「サポート校」についてをお伝えしました。
今日は直接仕事に繋がる訓練を受けられる学校などについてお話します。
10.障害者職業能力開発校
「障害者職業能力開発校」とは、障害のある人がパソコン操作や医療事務など、直接仕事に関わるスキルを身につけることができる学校です。
対象者は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持っているか、統合失調症・双極性障害・てんかん・躁病・うつ病の診断を受けている人です。
パソコンスキルや製図・ものづくり・医療事務・パン製造などの基礎的な技術が習得できます。(コースの対象者は施設によって異なります。)
概ね1年間のコースとなりますが、半年、3ヵ月などの短期コースもあるようです。
他にも精神障害・発達障害者向けの「就業支援プログラム」っていうコースもあるんだって!
ここでは事務やパソコンの基礎知識と共に、コミュニケーションスキルを訓練したり、人との対応をロールプレイングで練習したり、という内容となります。
教材や作業服は自己負担となりますが、入学金と授業料は無料です。
また、学校が遠くて寮に入る場合も、寝具や日用品、食堂の利用は自己負担ですが、寮費は無料です。
経済的負担が少なくなって、嬉しいですね。
また、何と言っても最大のメリットは卒業後の「就職支援」。
就職先を口利きで紹介してもらえることもある、という話もたまに聞くので、ひとり黙々と就職活動を行うより、断然有利となるのではないでしょうか。
申し込みは各能力開発校、公共職業安定所(ハローワーク)で受け付けています。気になったら足を向けてみてくださいね!
11.求職者支援訓練
「求職者支援訓練」とは、2種類ある職業訓練のうちのひとつです。
ひとつは「公共職業訓練」、そしてもうひとつが「求職者支援職業訓練」。
「公共職業訓練」は、失業保険が受給できる人が受けられる訓練です。
ここでご紹介するのは「求職者支援訓練」。
こちらは失業保険に入っていなかった人や、学校卒業後働いたことがない人などで就職を希望している方が対象となっています。
民間の訓練施設で月曜日から金曜日まで、1日6時間程度の授業を行います。
コースは2種類で、2~3ヵ月の「基礎コース」と、3~6ヶ月の「実践コース」があります。
「基礎コース」は簡単なパソコンのスキルやビジネスマナーを学ぶもので、主に働いた経験がない人が対象です。
「実践コース」の方はより実務に近く、「介護スタッフ養成科」「ネイリスト養成科」「農業技術養成科」「経理事務養成科」「建築機械運転科」など実に多彩にあります。
「実践コース」は高度な専門知識を習得することに重きを置かれているので、どちらかというと「職務経験があった人がスキルアップとして」「転職を考えている人」向けですね。要するに「一度は何かしらの職業に従事したことがある」人向けです。
そのため、中学校を出てどうしようか…という子たちの選択肢としては「基礎コース」が良いかと思います。
ただし、この制度を使うためにはハローワークに登録する必要があるんだけど、登録できるのは義務教育を終了した「16歳から」。
中学校を卒業しても16歳まで日数がある人は、その年齢までちょっと待たなきゃいけないから、注意してね!
1日50分が6コマで、休憩は1コマ終わると10分。お昼休みは1時間と、学校と同じ感じで授業が進みます。
授業料は無料で、コース修了後はハローワークの「就職支援」という力強いバックアップ付き。
そして、要件を満たせば(本人の収入が月8万以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、など)月10万円の給付金と交通費が支給されます。
ただし「セーフティーネット」として国の制度で賄っているものなので、全ての訓練日に出席するのが必須。
遅刻・早退・欠席があれば給付金は受けられないので、真面目に毎日しっかり通える!という子でなければ難しいかもしれません。
高校と違って、様々な年齢の人が集まります。そういった意味では凶と出るか吉と出るか…。微妙なところかもしれません。
12.就労移行支援
「就労移行支援」とは、障害や難病などで一般就労が困難な方を対象とした支援ですが、事業所によっては障害者手帳なしでも利用可能な場合があります。
一般企業に就職するために必要な訓練をしたり、就職活動をサポートする施設で活動します。
利用料金は基本的に無料。施設によってはお昼ご飯が無料だったり、交通費の補助があったりします。
最長2年間利用でき、パソコンスキルやビジネスマナーなどの習得や職場体験、コミュニケーション訓練、就職活動の面接訓練などを行います。
その施設によって支援員との相性、施設の感じ、訓練内容、通っている人たちの雰囲気などが違います。
就労者移行支援を検討するなら、まずは見学してみることが一番ですよ!
興味があれば、区・市町村の障害福祉課などに一度出向いてみて、どういった施設があるか教えてもらいましょう。
13.就労継続支援
前述の「就労移行支援」とごっちゃになりがちですが、就労「移行」支援は「訓練をする」場所、就労「継続」支援は「働く」場所、という感じです。
就労継続支援とは、障害や難病などで一般就労が困難な方を対象とした支援です。
「A型」「B型」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
「就労継続支援A型」の方は雇用契約を結ぶので収入が安定し、各種保険も適用されるのですが、こちらは18歳以上から。中学校卒業後すぐには利用できません。
多くは盲・聾養護学校を卒業した人や、障害や難病で離職した人が利用しています。
これに対して「就労継続支援B型」は、原則「18歳」から、とされているんだけれど、新規の人で児童相談所所長の許可があった場合は「15歳から」利用することができるんだよ!
雇用契約を結ばないで働くので、「日雇いアルバイト」的な感じです。
残念なのは、労働契約を結ばないので最低賃金の保障がないため、最低賃金を下回ることも多い、ということ。
ただ、週1日とか、1日1時間とか、その日の体調や特性に合わせて働けるため、本人の負担は少ないかもしれませんね。
内容も農作業や簡単なお菓子の調理、部品の簡単な加工・組み立てなどの軽作業が多く、スキルがそれほどなくてもできる仕事が多いのが特徴。
「最近はパン作りが人気があるんだってニャ。こういった施設の材料は、無添加だったり材料が国産だったりするから『美味しい!』って人気があって、よく売れるんだってニャー!」
「粘土遊びみたいで楽しいから、大好きな子も多いらしいニャよ!」
放課後デイサービスのような、日中誰かの管理がある中での居場所、というような福祉的目的もあるので、学業は難しい、でも就職も難しい…という子の受け皿にはなり得ます。
居住している地域のB型事業所の情報は、区・市町村の障害福祉課や発達障害者支援センターなどの支援機関で教えてもらえるよ!問い合わせてみてね!
ただ、最近は動物カフェ、eスポーツ、イラストレーター、デザインなど発達障害児が非常に興味を持ちやすい分野を持ち出して勧誘するものの、実際は全く関係のないことしかしなかった、工賃が見学時の話よりも格安、などのトラブルも多いと聞きます。
そのため親御さんが一緒に見学して、しっかりチェックすることが重要ですね。
まとめ
今日は支援級在籍・グレーゾーン・その他発達障害を抱えている中学生の進路のひとつである「障害者職業能力開発校」「求職者支援訓練」「就労移行支援」「就労継続支援」についてお伝えしました。
これから進路を考えられる発達障害児の親後さん・本人にとって、この記事が情報のひとつとなれば幸いです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。