
こんにちは。ココです。
注意欠如多動症(ADHD)で自閉スペクトラム症な息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
小学校高学年から中学校卒業までの5年間、支援級に在籍していた発達障害児息子も、この春から高校生になりました。
集中力の続かないADHD、さらにかんしゃく爆発頻度の高い自閉スペクトラム症で、書字困難なため書いて覚えることの難しい軽度学習障害のある息子。
そんな彼が進学したのは、高等専門学校(高専)でした。
今回はあまりメジャーではない進学先・高専ってどんな学校?そんな疑問にお答えします。
高専は国立・公立・私立があります
高等専門学校(高専)は、令和5年時点で国立が51校、公立3校、私立4校があります。
基本的には都道府県に1、2校ですが、北海道のように4校あるところもあります。
高専は、卒業後に即戦力として活躍できる技術者を養成する目的で設立された、という背景があるため工業系の学科が多いのですが、商船、国際ビジネス、通信ネットワークなどの学科がある学校もあります。
高専ってちょっとマイナーでマニアックで、情報が足りなくてよく分からない…ってイメージですよね?

今日は現役高専生である僕が、国立高専についてお話するね!
公立・私立の高専の場合は以下に限らないので、それぞれの学校を調べてみてくださいね。
工業高校とどう違うの?
高専って工業高校と何が違うの?って感じですよね。実は私もそう思っていました(笑)。
工業高校よりはちょこっと専門的なのかな?「専門」って名前が付くくらいだしね。ってくらいしか考えていませんでした。
大雑把に言うと、工業高校は「高校生」って感じで高専生は「大学生」って感じ?
工業高校でやる内容よりも「専門的に勉強」してその分野に特化していく研究生、という風に見えますね。
実は高専と高校は「教育機関」の管轄が違います。
高校は工業高校も普通高校もみんな「中等教育機関」。高専は大学と一緒で「高等教育機関」となります。
「生徒」ではなく「学生」と呼ばれるんですね。
だから高専に入学したはいいけど、やっぱ違ったな~。普通高校に転入しようかな~。なんて思ってもできないみたいですね。(東京と大阪の高専には一部できる学校があるようです。1年の夏休みあたりまでの限定期間だけ、のようですが。)
もしそうなった場合は、次の年に私立・公立高校を受験して1年生から入学、というかたちになるようです。

多くの高専には修学旅行がありません。交流を深めるための遠出や行事もあまりないですね。制服のない高専も多いです。「高校生活をエンジョイする」という感じが薄いので、意識して活動しないと「青春を謳歌」はできないかも…。
授業形態が大学みたい
高専の授業は基本的にひとコマ90分授業です。午前に2コマ、午後2コマ。
実験や演習の科目だけではなく、英語も体育も数学も90分です。このあたりが「大学っぽい」と私が思う箇所。
休講があったり、学科によっては午前中で終わり、の曜日があったりします。
とにかく課題やレポートの提出が多いので、休講になると高校のように「教室でみんな席に座って自習」というかたちではなく、それぞれが机でレポートを書いたり、パソコン実習室に行って情報演習(パソコンを使った課題)をやったり、図書室で調べ物をしたり…と自由にその時間を使うそうです。
1週間の総合的な授業時間は、高校よりも6時間ほど多い計算になります。
また、「職員室」という部屋がなく、先生は各自の研究室に。そのため課題提出や呼び出しの際は、その先生の研究室に出向く、という形なのだそうです。
ちなみに息子の高専では、低学年時は担任の先生が毎朝簡単なホームルームを実施。学生の様子や健康状態を確認したりしてくれます。
ここは高校っぽいですね。
息子は入学時に、自閉スペクトラム症への加配をお願いしています。
そのため、担任の先生も息子の様子に留意してくれたり、自分が担当する科目以外の学科の先生と連絡をとって、結果を親に報告頂いたりしています。非常にありがたい配慮を頂いています。
留年・退学者が毎年一定率出る
今の高校は「赤点」が30点程度の所が多いようですね。私が高校生の頃は40点でした。

それに対し、高専の赤点は「60点」。高っ…。
高専は学年制のため、各学年で必要な単位数が決まっています。そのため、赤点をとったら次回で挽回しないと即留年。
またレポートも未提出があればこれも留年。
1年生時から実験・実習が毎週ある高専では、毎週レポート提出、課題提出がわんさかあるので、普通高校のように「テスト期間にテスト範囲を勉強して上位を目指そう!」なんて暇がありません。
しかも授業の進度は速く、難易度も高い。数学などは普通高校が3年間で習得する範囲を1年半~2年でやってしまいます。3年生からは大学の数学に入るんですよ。
そのため、どの高専でも低学年時は数学と物理に苦しめられる高専生が続出で、この2教科で赤点を取る子も多いそうです。
60点って言ったって、そのレベルが高いんですよ…。
そもそも通常の課題・レポートが大量なので、はっきり言ってテスト勉強まで手が回らない子も息子だけではないようですね。
普通高校の10倍の留年率を誇る(?)高専。そのためどの学科でも2年生進学時は数人の留年・退学者がいる模様です。

他人事じゃないよ、息子くん…。頑張ってくれ~。

善処しま~す!
入学時点で専攻学科を決めない「総合学科」もある
高専によっては専攻する学科を決めずに入学し、2、3年になってから専攻したい学科に進む「総合学科制度」の学校もあるようです。
総合学科とは、入学して1~2年は各学科の専門分野の基礎を学び、2、3年になってから自分に合った学科を選択できる、というもの。
これなら若干15歳で自分の進路や学びたい分野を決定しなければならない!という負荷は少なくなります。
入学してそれぞれの学科の実験・実習を体験することで、「コンピューターに興味があったけど、データ構築とかやる電子科じゃなくて、ロボットの自動制御なんかをやる機械科の方が楽しい!」
「プログラミングとかがいいな、と思ってたけどやってみたら結構地味で疲れる。化学分析はみんなで班をつくってあれこれ分析結果を検討していく過程が面白かったから、情報工学科より応用化学科がいいかも…」
なんて熟考して決定できるメリットがあります。
ただし、実際に専攻する学科に入るには成績順であることが多いそうで…。
もともと優秀な子達が多い高専で、さらに行きたい学科への切符を掴むために猛勉強したけど手が届かず、全然興味がない学科へ回された…。この学科で残り3年間は無理。辞めようかな…。ということもあるそう。
実際、「自分の県の高専は総合で、2年次にどこの学科行くかわからないから、敢えて(初めから学科を決めて受験する)こっちの高専を受験した」という同級生もいるそうです。

生物化学系に行きたくて入学したのに、決まった学科は国際ビジネスだった…。なんて場合は全くの畑違いになっちゃうので、考えちゃいますよね…。
学生寮ってどう?
高専は基本的に都道府県に1、2校のため、遠方の学生は学生寮に入ります。
ここが一般的な高校とはちょっと違うところで、高専では自宅から通学する子達を「通学生」、寮の子達を「寮生」と呼んで区別します。
寮生は各学科約4、5割。多いところでは7割を超えるそうです。結構高校から自宅を出る子って多いんですね。
寮はそれぞれの学校で1人部屋だったり数人同室だったり、様々あるようです。
食事は基本的に朝・昼・夜がついていて、休日もこの通りだそうで、親としては安価で栄養を考えられたお食事を出してもらえるので安心ですよね!
だから昼休みになると、寮生は連れ立って寮に帰るそう。(寮は高専敷地内。徒歩1分くらい!)
息子の学校の寮のお食事は結構美味しい、って聞いているそうです。

気になるのは寮内の人間関係ですが…。これは何とも…。
夫の取引先の息子さんで、高専の寮に入っている4年生の子がいるのですが、彼は「学校はついていくのが大変だからやめたいんだけど、寮が大好きだから頑張っている」との話を聞きました。
そう聞いたので、息子の高専の寮は仲間意識が強くて楽しいのかあ~、と安心していたのですが。息子の同級生は「同学年以外は挨拶しても完全無視。空気は最悪」と嘆いているそうです。
私の地元でも高専に進学して寮に入った人がいたけれど、「いじ〇」が原因で精神的な病気を患い、やめて帰ってきた、という話を何件か聞いたことがあります。
これは学校にもよるし、その学年にもよるし、本当に「入ってみなければ分からない」という感じでしょうか。
ちなみに息子の高専の寮は、そこまでではないような…??という息子談(息子は通学生なので、詳しいことは分かりませんが…)。
全国からの学生も多く、国外からも数人は入る高専。色んな地元ネタが聞けるのは、大学みたいで楽しいですけどね。
まとめ
今回はあまりメジャーではない進学先である高等専門学校(高専)って「どんなところなの?」というお話でした。
公立普通高校出身の私にとっては「???」な世界の高専(笑)。
国立高専では小中学生対象の「公開講座」もやっていたりするので、興味のある方は是非お近くの高専を覗いてみて下さいね!
ちなみに息子も、高専の公開講座でいろんな実験を体験して、「ここに行きたい」と決めました。
実際の校舎を見たり、普通の高校では見ることのないような機材を見学できるのでおすすめですよ!

国立高専は、国が推し進める技術者養成の学校。だから持ってる機材は、そこら辺の大学でも導入されていないような高度な機材がたくさんあるんだよ!技術を磨いたり、研究するにはもってこいの環境が提供されているんだ。
これから進路を考えられる発達障害児の親御さん・本人にとって、この息子の実例がひとつの参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
