こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
ただいま中学3年生の発達障害児息子。高校受験期間の真っ最中であります。
そんな息子は、とうとう塾も夏期講習も模試も、ひとつも経験せずに受験に突入してしまいました…。
結局体験しないと「わからない」
発達障害児の多くは、「今、現在より先の未来」を予測することが困難です。
自分の目で確認できるもの、触れることができるもの、以前経験したこと、数字に置き換えられるものは何となく想像ができるのですが。
新しい公園で遊ぶ、課外授業で市役所を訪ねる、体育で初めてバレーボールの授業を受ける。初めての実験器具を使った理科の授業、修学旅行、体験学習。
こういったことを想像できず、パニックになる自閉症スペクトラム児もいます。
息子は自閉症スペクトラムですが、併発している注意欠陥・多動性障害(ADHD)では積極奇異型と言われるタイプ。
積極奇異型は目新しいものに強い興味を持つのが特徴なため、「経験したことのないもの」「新しい場所」に不安を覚えるより先に「え、これどーなってんの?」「こんなの見たことないや!すげー!!」という興奮が優位に立ってしまいます。
「ぶっつけ本番」が割と平気なタイプなのですが(だからといって成功するわけではない)、逆に心配で前々から準備しておく、ということができない短所もあわせ持ちます。
「やったことのないものは想像ができない」。
そんな状況において、発達障害児は以下の反応になる場合が多いです。
「不安でパニックになる」「回避しようと閉じこもってしまう」「感情の波がセーブできずに癇癪を起こしてしまう」など、問題に正面から向き合うことを避ける反応をするタイプ。
逆に「下準備が面倒なので一気に突撃!」「ぶっつけ本番、一発勝負!」という、深く考えることを避けて「当たって砕けろ!」なタイプ(そして見事砕け散ることも多々…)。
息子は後述のタイプなので、1年前から受験に向けて勉強を進める、という下準備が難しかったですね。
不安になるタイプは、逆を言えば「慎重派」で失敗も少ない。一発勝負タイプは失敗が多いけど、飛び上がった分だけ果実をもぎ取れる可能性がある。見る角度で長所にも短所にも。
親の方がやる気満々?
そんな息子なので、受験のために塾に行く、夏期講習を受ける、というような行動は「嫌だ」とずっと拒否。
でも最近は情緒障害、知的障害があっても、多くの子たちがそれなりの塾に通ったり、家庭教師をつけたりする、とう話をよく耳にするようになってきました。
障害があっても「高校進学」を目指すのが一般的になりつつあるんだね。
以前なら通信制高校や支援学校の高等部、フリースクールなどに進学する子が多かったのですが、ここ数年は私立・公立の高校受験を希望する子が目立つようになってきました。
学力一般選抜を目標に、塾に通う支援学級の子が多くなってきたように思います。
息子が在籍している情緒障害支援学級でも、息子以外は全員塾に行っています。塾に行くのが困難な子は、家庭教師をつけているそう。
…すごいな。やる気満々!(親が…)
そう。是非とも普通高校へ!という熱意に溢れた親が、とても多いのです。
中3の夏以降は伸び悩む
発達障害があっても、それに特化した塾(障害を考慮して教えることのできる講師を抱えた塾)や家庭教師を選ぶこともできる昨今。
塾や家庭教師をつければ、割合早く学力向上の効果が表れるため、親もどんどん投資を始めます。
もはや塾も家庭教師もつけていない支援学級の子どもは息子のみ、という状況。
それでも息子は、頑なに塾や集中講義、模試などを拒否。
そのため中学3年生の夏以降は、徐々に成績が伸び悩んでいました。
今まで部活に勤しんでいた子たちが夏期講習や塾に通い始めて、本気で勉強を始めるため、どんどん追い抜かれていくからです。
息子も彼なりにちょこちょこ勉強はしていましたが、中3の夏はまさに「下剋上」ですね。
本人が嫌でなければ、塾や家庭教師という選択はやはり学力向上の近道だよなあ…と思います。他人相手なので、癇癪起こしたりすることも少なくなる、という期待も。
発達障害の子の場合は「対応する親のストレス値が格段に下がる!」のが、実は一番「お金をかけるだけはある」効果かも…。
僕は目一杯頑張っている
「受験ってさ、ただ単に勉強すればいい、ってものでもないんだよ。問題を解くポイントやこう来たらここを読め!的な解答技法があって、それを教えてくれるのが塾なんだよ?ママのようにド田舎の高校受けるんだったら、フツーに勉強してても合格できるけどさ。それに昔と違って、今はそんな単純明快な試験内容じゃないから、塾行った方が、簡単に素早く偏差値が上がるんだよ。支援学級の子たちもいきなり上がったでしょ~?」
なんて言っても息子は「絶対行かない」「志望校は下げない」の一点張り。
僕は学校で目いっぱい頑張ってる。授業も『変に見えないように』気を使いながら受けてるし、支援クラスでだって『調子に乗って失言しないように』気を付けてる。
すんごく頑張ってるから、学校が終わったあとも『学校の延長のような』ことはしたくない!
まあ、そう言われたら、うーん、そうかあ…。と言う他ないですよね。
だって「すんごく学校生活頑張ってる」と本人が言うんです。それ以上を望むのは、私が欲張りなのかも…。
息子は「学校が終わったら、うちに帰ってのんびりしたい。勉強もするけど本読んだりゲームしたり、うさぎちゃん先生と遊んだりして過ごしたい」。
それが「毎日学校に登校できる元気の充電方法」だと言います。
そうねえ。塾行って偏差値上げて、ひとつ上のランクの高校行けるまで頑張って頑張って頑張り過ぎてココロの安定を崩すよりも、「ここまでしか僕は頑張れない」って線引きできる「今の君」の方が、ずっと健康的で安心できるもんね。
そんな風に考えて、息子の意思を尊重し、自宅学習のみで高校受験まで息子と歩いてきました。
お陰で、ちょっと頑張ればどうにかなるかも!!と熱意満々な教育ママにならずに済んだような気がします。
「もうちょっと頑張ったら手が届きそうなのに」という状況だと、つい高望みをして暴走しがちなのは、みんな一緒。
息子も「もうちょっと頑張ったら…」という感じだったので、私もあやうく暴走するところでした(笑)。
「ここまでしか頑張れない」とはっきりNOを出してくれる息子で助かったかも…。
無理なモノは無理!自傷他害、離席に脱走。それら多くの問題行動を経てきたことを考えたら、今は御の字!成長したな、息子!そう思わなくちゃね。
まとめ
そんなわけで自宅学習のみで受験に挑んでいる息子。第一志望校はちょっと難易度が高いので(数学が…。うーむ…。)、どうなるかは分かりませんが。
まあ、昔と違ってそこがダメでも、どうにか救ってくれる高校は(えり好みしなければ)ある時代なので。
その時はその時考えようね。と腹をくくっている私と息子であります。
甘い!と言われれば甘いかもしれませんが、その「甘さ」も24時間年中無休の発達障害育児には必要なもの。
大切なのは、高校に入学することより、その後社会で生きていけること、ですからね。高校はそのための手段でしかないのだ、という基本的な考え方を見失わないように、残りの受験を乗り切っていきたいと思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。