こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子との毎日から得た小さなヒントをお伝えしている当ブログへお越し頂きまして、ありがとうございます。
さて今回は、小学校低学年のお約束宿題「計算カード」について考えていきます。
- 1年生の宿題の基本・計算カード
- 計算カードはかんしゃくの種!
- 「計算カード」は処理能力オーバーだった
- かんしゃくを起こしながらも続けた計算カード
- 子どもの「今の」心理状態と処理能力を考えてやらせる
- まとめ
1年生の宿題の基本・計算カード
息子が1、2年生の頃、宿題と言えば音読とプリント、そして計算カードでした。
計算カードとは、「3+5」のカードの裏に「8」という答えが書かれている単語帳型のカードです。
大概の小学校低学年の子たちはこの計算カードが宿題となるようですが、最近の1年生はこの計算カードの宿題がない、という話も聞くようになりました。
より多くの計算・漢字を書く「速さと正確さ」が重要視されていたちょっと前までの時代とは、教育方針も変わってきているからでしょうか。
とにかく低学年時、息子はこの計算カードが「壁」でした。
計算カードはかんしゃくの種!
単調な計算作業を集中してやらなければならない「計算カード」。
しかも、彼の最も苦手な「カウント」を記入しなければなりません。
「カウント」とは、30問ほどの計算カードを全て答え終わった時間を計って表に記入するもの。「〇分〇秒」と書かれたその表は、学校に毎日提出します。
息子は、この「カウントされること」に非常にストレスを感じるらしく、数問答えると必ず大噴火を起こしていました。
計算に答えている間に刻々と進んでいく時間に追い詰められていく感じなのでしょうか。
目の前に時計があるわけでもないのに10問辺りからイライラし始め、20問越えると「わーっ!できない!遅くなる!間に合わないっ!」と騒ぎたてます。(別にタイムオーバーがあるわけじゃないです。)
わめきながらあと3問って頃には爆発し、壁を繰り上げ、床に座り込み、そばにあるものをぶん投げて、僕の癇癪大噴火っ!どーだ、参ったかーっ!…って。
毎回、ホント凄い苛立ちと疲労と涙を私に与えてくれていました。
いつも育児と人生の意味を問う壮大な疑問を投げ掛けてくれてありがとうね。
今でも頻繁に投げ掛けてくれているけどね…。ははは…。
「計算カード」は処理能力オーバーだった
WISC(ウェクスラー式知能検査)で「処理速度」の指標が正常範囲ではあるものの他の項目に比べて低い数値だった息子には、単純計算を繰り返す計算カードは処理能力オーバーだったのでしょう。
かんしゃくが手に追えなくなったきた頃、私は先生にお話して計算カードのカウントをお休みさせてもらうことにしました。
計算カード自体は続けましたが、カウントはしないで、表は傍線を引くだけ。
担任の先生は発達障害にとても理解があり、「やらなくてもいいんだよー?」なんて笑って息子に言ってくれました。
カウントしなくてよくはなりましたが、かんしゃくは相変わらずで。
たまに答えを間違えると狂ったように叫びます。
もう、これだけ毎日かんしゃく起こすんだったら、いっそ計算カード自体をやめてしまったらいいのではないか…とも思ったのですが。
例え計算カードをやめたとしてもかんしゃくを起こすことがなくなるわけではないので、かんしゃくと付き合いながら平日は毎日続けました。(週末はお休みです。)
かんしゃくを起こしながらも続けた計算カード
かんしゃくを起こしてまでも計算カードを続けたのは、本人が「やめたくない」と言うのが一番の理由でしたが、処理速度が低いならなおさら訓練しないと学年が上がってから大変になるのではないか…という危惧があったからです。
学校では驚異的なタイムを打ち出す子も何人かいましたが、公文やそろばんを習っている子のようでした。さすがです。
公文をやっている子に聞いたら、とにかく大量の計算をこなして機械的に覚えていくのだそうです。「4+6」は「10」とほぼ暗記みたいなものだそうです。
道路で赤信号を見たら止まるというように条件反射的に頭に入れていくのは、とても効率がいいのでしょうね。
まあとにかく。速くはなくても、何度も計算を繰り返しているうちに、処理能力が落ちる息子であっても感覚的に覚えられるものもいくつか出て来ます。
全ての組み合わせがパッと出てこなくても、「5+5」「8+2」「6+4」など、だんだん即答できる組み合わせが出てくるようになったんだよ!
低学年の頃はこんなかんしゃく起こしてまで毎日やる必要があるのかな…と悩むこともありましたが、学年が上がるにつれ、やっぱりあの時頑張ってて良かったな、というのが私の感想です。
子どもの「今の」心理状態と処理能力を考えてやらせる
息子は計算速度は今でも遅いし、ADHD特有の単純計算ミスは多発しまくりですが、計算が嫌になってテストを投げ出してしまう、ということはありません。
ここでひと踏ん張りできなかった一部の子は、もう嫌になってしまって始めから算数自体を投げ出してしまったり、適当な答えを書いてやめてしまう(逃げ出してしまう)こともあるようです。
算数は基本計算が主なので、その後ついていくのに大変な労力も伴ってしまいます。
その子の処理能力を考えるとそもそも難しいものなのか。
「努力を継続するという意思が」萎えてしまうだけなのか。
癇癪やパニックが激しすぎて今はそれどころではない状態なのか…。
よく見極めて対処したいですね。
もちろん「今はそれどころではない」状態であれば、子どもの心の安定が最優先です。1、2年遅れても勉強は取り戻せますが、心の安定はそう簡単にはいきません。
判断に迷ったら病院の先生やスクールカウンセラー、担任の先生など第三者の目を入れるようにするといいかもしれませんね。
あと数年したら計算なんて計算機に任せて、違う分野の勉強をさせよう!という教育方針に変わってくるのかもしれませんが(教育水準が世界一と言われるフィンランドでは九九なんて暗記せずに計算機を使用するそうです)、残念ながら今の日本では必要です。
一桁の計算から二桁に、かけ算の筆算、わり算…とレベルが上がっていくごとに、底辺で培った「計算カード」の「組み合わせの技」が生きてきます。
処理速度の低い息子にとって「組み合わせを数種類だけでも」覚えることができたこの計算カードは、とても小さいですが確かに武器になっているな、と思って見ています。
かけて、足して。割って、引いて。桁数が多くなるほどに、感覚的に覚えた組み合わせ(8+2など)が出てきた場合はその部分だけは頭を使うことなくできるのですから、疲労感が少なく計算できるのです。
疲れを最小限に留める…。これって常に脳がパンパンな発達障害児にとっては、とても重要なことですよね。
まとめ
もしくじけそうになっているお子さんがいらっしゃったら、ゆっくりでも、少しずつでも、毎日繰り返してやることの方が後ですごく楽に算数に取り組めるようになることをお話しておきます。
処理速度といっても差がありますし計算だけが全てではないですが、「楽にやれる」ということは、本人にとってもストレスが少なく済みます。
算数障害、知的障害があるお子さんはまた別のやり方が必要ですが、そうでない場合は1年丸ごとかかってもいいから毎日コツコツと3分間続ける…。
最小の時間で、あきらめず、少しずつ。
それは「僕だって時間さえかければできるんだ!」。そんな一番大切な「自己肯定感」のひとつになってくれます。
始めから「これ無理!」と思ってかんしゃく起こすのと、「あ、繰り上がり忘れた!」と単純ミスに気付いて怒るのとでは「その癇癪の意味合い」が違うんだ。
「できない自分に嫌になる」のと「単純ミスを認める」怒りは、自己肯定感が低い僕たちにとっては全く別物なんだよ。
「集中できないけど、勉強することは嫌いじゃない」のなら、毎日毎日付き合うのは大変ですが、力になってあげたいですね。
最後までお読みいただいてありがとうございました。