こんにちは。ココです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)で自閉症スペクトラムな息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
近年、世間に広く認知されるようになった「発達障害」。
しかし、誤った知識や噂ばかりに頭でっかちになって、障害に困っている子供たちを簡単に傷つける発言を繰り返す大人も(もちろん子供も)とても多い。
そこで簡潔に分かりやすく「発達障害」についてお話していく「発達障害・基本のき」シリーズでは、発達障害の正しい知識を皆様にお伝えしていきたいと思います。
今回は、今まで様々な種類に分別されていた自閉症の種類を見ていきましょう。
なお、このシリーズは日本の精神医学・心理カウンセリング現場で診断基準として使われている米国精神医学会の「DSM-5」に準じています。
疾患名が変わっています
このブログでは、一般的に馴染みのある「発達障害」という言葉を使用していますが、実は「発達障害」という疾患名はありません。
正式名称は「神経発達症」です。
それと同じように、以前は「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」などという分類があって、「自閉症っていっぱい名前があるんだ!なんか混乱してわからない~」という感じでしたが。
現在はそれら全てを包括して「自閉症スペクトラム障害」としています。
それでは「神経発達症」のカテゴリーの中にある「自閉症スペクトラム障害」。その包括された以前の旧名称を見ていきましょう。
一般的に認知されていた自閉症の種類は以下8つです。
1.早期幼児自閉症
2.小児自閉症
3.カナー型自閉症
4.高機能自閉症
5.非定型自閉症
6.特定不能の広汎性発達障害
7.小児期崩壊性障害
8.アスペルガー障害
結構種類があったんだね。じゃあひとつずつ見ていこうね!
1.早期幼児自閉症
0~3歳頃に症状が出現する自閉症をこの名称で分類していました。
主な特徴に挙げられるのは、「視線を合わせない」「抱っこを嫌がる」「友達と交流するより一人で遊びたがる」「相手の気持ちがわからない」などの対人関係の困難。
「言葉の遅れ」「ジェスチャーや表情などでのコミュニケーション」「指示に従うこと」「気持ちを相手に伝えること」などコミュニケーションの困難。
「特定の物や行為に強くこだわる」「特定の動作を繰り返したり、同じ言葉を繰り返す」「新しい場所や状況などの変化を嫌がる」などの行動面での困難。
感覚が過敏であったり、逆に鈍感であったり、知的な遅れがみられる場合など。
これらの症状全てを持っている場合もあれば、一部だけの症状が際立つ場合もあります。これが「早期幼児自閉症」の大きな特徴でした。
早期発見での早期療育は有効な場合がありますが、それ以上に「時間」と「手間」と「愛情」をたくさんかけて、いっぱいいっぱい「親子間のコミュニケーション」を取る方が、のちのちの発達への「一番の療育」だと思うのです。
療育には「時短」も「コスパ」もないのです。
2.小児自閉症
1の「早期幼児自閉症」が3歳頃までに出現するのに対し、それ以降から15歳くらいまでに症状が顕著に現れ始めた子どもに対しての分類でした。
症状は1と同じ特徴があります。
3.カナー型自閉症
IQ(知能指数)が70以下の知的障害を伴っている自閉症を指していました。
提唱した精神科医レオ・カナーから名称がついています。
つい最近までは、このカナー型自閉症が一般的な「自閉症」のイメージとして定着していました。
「知的障害のある自閉症」と判断しやすくするために、現在でも一部で「カナータイプ」と呼ぶ場合があります。
4.高機能自閉症
知的障害を伴わない自閉症で、幼少から学童期(小学生)にかけて「言葉の発達の遅れ」があるものを「高機能自閉症」として分類していました。
5.非定型自閉症
典型的な自閉症の症状が現れていない場合や診断基準を満たさない場合、症状が軽い場合に「非定型自閉症」としていました。
6.特定不能の汎用性発達障害
5の非定型自閉症とだいたい同じような感じですね。
強いて言うなれば、非定型自閉症よりも困難の範囲が狭く、具体的な分類が難しい場合に用いられていた言葉でした。
色んな呼び方があったけど、今はみんな一緒だね!
7.小児期崩壊性障害
少なくとも2年間は年齢なりの正常発達をしていながらも、その後に知的・社会性・言語の退行が見られる症状のことです。
退行は「赤ちゃん返り」程度のものではなく、各領域で「著しい」崩壊が見られる場合に限ります。
8.アスペルガー障害
知的な遅れがなく、言葉の遅れもないが自閉症状だけが出現している場合に「アスペルガー障害」と分類されました。
表面的には言語のコミュニケーションが取れている(ようにみえる)し、学力的問題も特になかったりするので、見落とされがちなタイプです。
大人になってから「実は検査をしてみたら発達障害だった」という人が多いタイプでもあります。
まとめ
発達障害は今後100年経っても完全解明しないだろう、と言われているほど非常に複雑で、経験の浅い専門医は誤診することも多い、とても難解な障害となっています。
今では広く知られるようになった「発達障害」という名前。
しかし障害名が独り歩きしていて、学校の教師の方も「適当な」「昔の」知識しかないことが多いです。
正しい知識を知っていただくことで、息子をはじめとする発達障害の子供たちに、短時間でもいいから温かい眼差しを向けてもらえたらいいな。そう思ってこのシリーズを始めてみました。
また機会がありましたら、是非当ブログへお立ち寄りくださいね。「発達障害・基本のき」シリーズは時々更新していきたいと思います。
今回は今まで色々な名称の「自閉症」を表す言葉があって、「職場の同僚のお子さんが汎用性発達障害って言うんだけど、ADHDってこと?」
「今度入学してくる子がアスペルガーだと親御さんが言うんですが、発達障害とどう違うのですか?」
などと混乱を招いていた名称が「自閉症スペクトラム障害」という疾患名に統一されたことをお伝えしました。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。